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中耳炎とは
中耳とは外耳道と内耳(神経)との間にある空気の入った部屋のこと。鼓膜と耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)から構成されており、耳に届く音を増幅する機能を持っています。この中耳に起こる炎症を「中耳炎」と呼んでいます。中耳炎の中には鼓膜に穴があくもの(=鼓膜穿孔)や、耳小骨が壊れてしまうものもあり、耳漏(じろう)や難聴の原因となっています。
特徴的な中耳炎
[1]真珠腫(真珠腫性中耳炎)
真珠腫には先天性真珠腫と後天性真珠腫があります。
a)先天性真珠腫
胎生期に中耳腔内に皮膚の要素が残ったことにより発症します。最近は3歳児検診で偶然発見されるケースが増えています。
成長に伴い真珠腫も大きくなるため、難聴の原因となる場合があります。また、耳小骨奇形を併発している場合もあります。
b)後天性真珠腫
中耳腔内の陰圧などによって鼓膜が袋状になって内側に陥没し、そこに耳垢が溜まってしまうことで発症する疾患です。
耳垢が溜まってしまうと、そこで炎症が繰り返されます。すると袋の周りに肉芽(にくげ)が生じ、骨を破壊する因子が分泌されるようになります。これにより袋がさらに肥大し、中耳腔内に入り込んでいってしまうという特殊な中耳炎です。
後天性真珠腫には骨の破壊作用があるため、通常の慢性(穿孔性)中耳炎よりも重篤です。
中耳の構造まで破壊するため難聴、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎といった深刻な合併症を引き起こす危険があります。多くの場合手術治療が必要になります。
真珠腫が原因となって難聴が発症することがあります。
[2]慢性中耳炎
鼓膜に穿孔(穴)があり、風邪のたびに耳漏(みみだれ)を繰り返し、徐々に難聴が進行していく中耳炎です。多くは急性中耳炎の慢性化によって起こります。適切な抗菌薬の使用と耳内の清掃で耳漏を一時的に止めることができます。
耳漏の停止と聴力の回復を図るため手術が必要となる場合があります。
慢性中耳炎が原因となって難聴が発症することがあります。
[3]滲出性中耳炎
中耳内の炎症が長期化し、鼓膜内側にある中耳腔内に貯留液がたまる疾患です。再発例や難治例では鼓膜切開や鼓膜換気チューブ留置術を行うケースもあります。口蓋裂のあるお子さんには滲出性中耳炎が合併するケースが多いため、口蓋裂の診察と同時に必ず耳の検査を行います。